スムーズに嚥下できる食べ物の香りと温度のヒミツ
- アシスタント:田中
- あー、おいしそうな匂いですね! 今日は食事介助のコツですか?
- ナビゲーター:土持
- いいえ、今日はご利用者さんにおいしく、そして安全に食べていただく嚥下食の調理のコツですよ。今日が「スムーズに嚥下できる食べ物の香りと温度のヒミツ」というテーマでお話しましょう。
- ナビゲーター:土持
- 嚥下食では、誤嚥しないようにトロミを付けたり、食べやすい大きさに刻んだり、すりつぶしたりすることに意識が向かいがちですが、ご利用者さんにおいしく、かつ安全に食べていただくために、忘れてはいけない要素が2つあります。
- アシスタント:田中
- はい。
- ナビゲーター:土持
- それが、香りと温度です。まずは香りの説明をしましょう。さっき、田中さんが「おいしそうな匂い」と言って入ってきましたが、人間がおいしそうと感じる感覚の60%を香りが占めるといいます。嚥下食は、複数の食材を混ぜ合わせることが多く、味がわかりにくくなる傾向があります。シーズニングなどで香りづけをすると、ご利用者さんの食欲を増進させることができますよ。
- アシスタント:田中
- 嚥下食でも香りが大切なんですね! もう1つの温度は、火傷しないように、ということですか?
- ナビゲーター:土持
- いいえ。火傷しないようにと、食べ物は冷まして食事介助しがちですが、冷めた食べ物はそれだけで「おいしくなく」感じるんです。一般に食事は体温と20度違う温度で出されるのが適しているとされます。冷たい食べ物は冷たく、温かい食べ物は温かくすることで、食べたときに「おいしい」と感じるんです。
- アシスタント:田中
- 食べ物の温度も、おいしさに関係するんですね。
- ナビゲーター:土持
- そうですね。さらに、温かいもの冷たいものの方が、口に入ったときに、嚥下反射を誘発しやすいので、誤嚥の予防にもなるんです。もちろん、火傷をしてしまうような熱いものはいけませんよ。
- アシスタント:田中
- よくわかりました。ありがとうございました。