寝たきりの人の痰を出しやすくする体位変換
- アシスタント:田中
- 先生、寝たきりで痰が絡みやすい人の場合、痰を出すやすくするために、してあげられることって、あるんですか?
- ナビゲーター:土持
- そうですねー。上体を起こして背中などを叩く、タッピングのような方法を何度も行うのは難しいですよね。でも、寝たきりのご利用者さんに、あまり負担をかけずに、痰を出しやすくする方法はあるんです。じゃあ今回は「寝たきりの人の痰を出しやすくする体位変換」というテーマでお話しましょう。
- ナビゲーター:土持
- 痰は重力の関係で、下の方に溜まりやすくなります。そのため、痰が絡んでいる側が上になるように、体位を変えてあげるだけでも、痰が移動しやすくなるんです。寝たきりのご利用者さんの上体をわざわざ起こして、背中や胸部を叩く必要はありますんから、ご利用者さんの負担も少なくて済みますよ。
- アシスタント:田中
- 右側に痰が絡んでいるようなら、右側が上になるように、体位を変えてあげるんですね?
- ナビゲーター:土持
- そうです。このときに、頭の位置が肺よりも低くならないように気をつけてくださいね。頭の位置が肺よりも低いようだと、逆流してきた痰を再度誤嚥してしまう危険がありますからね。
- アシスタント:田中
- はい。認知症などで意思疎通が困難な場合は、胸に耳を当てて「ヒューヒュー」と音がする側を上にするんですね?
- ナビゲーター:土持
- そうですね。あと、覚えておくといいのが、人間の体の構造上、左側よりも右側の方が痰が溜まりやすいということがあります。
- アシスタント:田中
- どうしてですか?
- ナビゲーター:土持
- 人間の体は、肺と気管を結ぶ気管支の角度が、左右で異なるからです。これは、左側に心臓があるので、その分だけ左の気管支の方がより角度がつくんです。そのため、痰が絡んだり、食べ物や飲み物が気管に入ったりするのは、右側が多くなりがちなんです。だから判断が難しいときは、右側を上にしておくと、痰が解消することが多く、誤嚥性肺炎も起こしにくくなると言われているんです。
- アシスタント:田中
- よくわかりました。ありがとうございました。