食事の姿勢
- ナビゲーター:小笠
- 田中さん、高齢者の死因の5位には、長年、「不慮の事故」があるんですが、どんなものだと思いますか?
- アシスタント:田中
- 事故っていうくらいだから、交通事故ですか?
- ナビゲーター:小笠
- そうですね、80歳までは交通事故がトップなんですが、80歳以上では、窒息がトップなんです。食事のときに食べ物を詰まらせて、窒息してしまうことが多いんですよ。
- アシスタント:田中
- 誤嚥に注意!っていうのは、口腔ケアのときだけじゃないんですね。
- ナビゲーター:小笠
- そうなんです。不慮の事故を予防するためにも、食事の取り方にも注意が必要なんです。そこで、今回は「食事の姿勢」というテーマでお話ししましょう。
嚥下機能に問題や障害のある人の口腔ケアでは、基本の姿勢が大変重要です。食事の際も同じで、正しい基本姿勢を作ることで、安全においしく食べることができます。
- アシスタント:田中
- はい。
- ナビゲーター:小笠
- 上半身を起こして、あごを引いて、やや前かがみになるのが、食事のときの基本の姿勢です。私たちが普段、食事のときに無意識にとっている姿勢ですね。食べ物をスムーズに飲み込もうとすると、自然にこの姿勢になっているんですよ。
- アシスタント:田中
- そうですね。
- ナビゲーター:小笠
- でも、高齢者の場合は、自分で基本の姿勢を取ることができない場合がありますから、食事介助のときには、真っ先にこの姿勢を作ってあげましょう。上半身をしっかりと起こすのが難しい場合は、30度だけでもいいので、上体を起こしてください。そして頭の後ろにまくらなどを当てて、顎が上を向かないようにします。
- アシスタント:田中
- はい。顎が上を向いてしまうと、誤嚥が起こりやすくなるんですね?
- ナビゲーター:小笠
- そうですね。そして、ひざを軽く曲げて、足下にクッションなどを当てて安定させましょう。イスに座れる場合は、かかとをしっかりと床につけて、安定して座ってもらいます。
- アシスタント:田中
- わかりました。ありがとうございました。