可能なら「ギャッジアップ」をする
口腔ケア介助を行う対象のなかには寝たきりの方、もしくはほぼ寝たきりの方がいらっしゃると思います。
こうした方へ口腔ケアを行うときのコツを説明しましょう。
寝たきりもしくは寝たきりに近い方の口腔ケアでは、何よりも誤嚥をさせないように注意することが大切です。
誤嚥を予防するためには、ケアを行う姿勢作りが重要です。
寝たきりに近い方でも、可能であれば上体を起こしましょう。
上体を起こすことを「ギャッジアップ」といます。
ギャッジアップの角度は30度から45度程度。ほんの少し起き上がる感じで十分です。それ以上起こす必要はありません。
ギャッジアップをしたら、枕かヘッドレストを使って頭の位置を安定させます。そのときに顎を前に出して下向きに降ろすようにします。これを「頸部前屈」と言います。
こうして角度をつけることで、誤嚥しにくくなるのです。
なお、ベッドから起き上がるのが無理なときは顔を横に向けてもらいます。
ご利用者さんに片マヒがある場合は、マヒのない側である「健側」が下になるようにしましょう。
ケアはマヒのない側から始める
片マヒのある人の場合、マヒしている側からケアを行うと誤嚥の可能性が高くなります。
まずはマヒのない健側からケアをしましょう。
そしてケア中は口のなかの水分をこまめに拭き取ります。ケア中に誤嚥させてしまわないように注意してください。
吸引器をお持ちの場合は、吸引器を接続して使用する吸引歯ブラシを使うと便利で安全です。
ケアが終わったら、うがいはせずに口腔ケアウェットティッシュなどで口のなかを清拭します。
口のなかに汚れを残さないように、しっかりと拭き取りましょう。
ケアが済んだお口のなかはキレイになっている一方で、水分も拭き取られてしまっているのでカラカラに乾燥しています。
最後に保湿剤を塗って口内を潤してあげましょう。