マヒの人の口の観察方法
- アシスタント:田中
- 先生、片マヒの人はお口のなかの状態も、健康な人とは違うって聞いたんですけど本当ですか?
- ナビゲーター:小笠
- そうですね。マヒの症状が口のなかにも見られますから、口腔ケアを行うときは、事前にチェックしておくのがいいでしょうね。じゃあ、今回は「マヒの人の口の観察方法」というテーマでお話ししましょう。
脳卒中などの後遺症としてよく知られているのが片マヒです。片マヒの人は、体の左右どちらかがマヒしてしまうため、運動機能や感覚に障害が生じてしまいます。影響は口の機能にも現れます。ろれつが回らなくなったり、嚥下障害を起こしたりしてしまいます。
- アシスタント:田中
- だから、口腔ケアのときにも、注意が必要ですよね。
- ナビゲーター:小笠
- まずは、口を大きく開けてもらいます。そして、「あー」と発音してもらいます。このときの軟口蓋(なんこうがい)の動きを見るんです。
- アシスタント:田中
- 軟口蓋?
- ナビゲーター:小笠
- 上あごの奥のやわらかい部分を軟口蓋というんです。弓のようになっている部分が口蓋弓(こうがいきゅう)、真ん中が口蓋垂(こうがいすい)です。片マヒのある人は、「あー」と発音したときに、マヒのない側の口蓋弓だけが上にあがります。
- アシスタント:田中
- たとえば、右半身がマヒしている人は、左側の口蓋弓だけが上に上がるんですね?
- ナビゲーター:小笠
- そうです。両側にマヒのある人の場合は、「あー」と発音しても左右の口蓋弓は上にあがりません。このように口蓋弓を上にあげられなくなると、誤嚥が発生するんです。マヒのある人の口腔ケアでは、この動きをチェックしてからケアを始めるといいですよ。
- アシスタント:田中
- よくわかりました。ありがとうございました。