うがいのできない人の口腔ケア
口腔ケアというと、「歯みがきのことでしょ?」という方がいらっしゃいます。
間違ってはいませんが、それがすべてではありません。
重度の嚥下障害などで、ぶくぶくうがいのできない人の口腔ケアでは、口のなかの汚れを口腔ケア専用のウェットテッシュなどで拭き取ります。
これを「口腔清拭」と呼びます。
口腔清拭を行うときは、拭き取り残しがないように順番を決めておくのがオススメです。
口腔清拭の手順
まずは、上の歯とほほの間を拭き取ります。
口腔ケアウェットティッシュを巻きつけた指を、奥から手前に向かって動かします。そして、唇の裏側の真ん中にある「小帯」のところで止めます。
小帯に当たってしまうと、ご利用者さんに痛い思いをさせてしまうからです。
なお、小帯は口の奥にもあります。拭き取るときに、あまり奥に指を入れ過ぎないように気をつけてください。
次は口蓋を清拭します。
ここも口腔ケアウェットティッシュを巻きつけた指を、奥から手前に動かして汚れを拭き取ります。
左側、真ん中、右側というように3つのブロックに分けて行うと、まんべんなく拭き取れます。
口蓋は軽く触れられると逆に気持ち悪いので、ほかの部分よりも少しだけ強めに拭き取りましょう。
そして下の歯とほほの間を拭き取ります。
注意点は、上の歯とほほの間のときと同じです。
唇の裏側の真ん中と口の奥にある小帯に気をつけて拭き取ります。
最後は舌と舌の裏側です。
この部分は、指を奥に入れ過ぎると「オエッ」と嘔吐反射を引き起こしてしまいます。嘔吐反射に注意しながら、軽く拭き取りましょう。
舌の裏側にも小帯があります。拭き取るときは、ここにも気をつけてください。
口腔清拭のあとは、口のなかがキレイになる一方で、唾液も拭き取られてしまうため、カラカラに乾燥してしまいます。
最後に保湿剤を塗って、口のなかを潤してあげてください。