起き上がれるなら寝たきりの人よりも安全に口をすすげる
嚥下障害がある人の口腔ケアでは、さまざまな配慮が必要です。
特にケアのときの口すすぎはリスクも大きいので、注意点も多くなりがちです。
でも、嚥下障害のある人の口腔ケアといっても、寝たきりの人と起き上がれる人とでは、だいぶ事情が違います。
嚥下障害であっても、ケアのときに起き上がって座ることのできる人なら、寝たきりの状態で行うのよりも、より安全に口をすすぐことができるからです。
では、「嚥下障害でも座れる人」の口腔ケアでの口すすぎのやり方を説明しましょう。
吸い飲みとガーグルベースンを用意
口すすぎに必要なケア用品は吸い飲みとガーグルベースンです。
まずはご利用者さんに、座った状態から少し前かがみになって、頭をやや右に傾けてもらいましょう。
ケアをする側は、ご利用者さんの正面に位置します。
ガーグルベースンを左手に持って、カーブしている部分をご利用者さんの口元に当てます。
そして、ガーグルベースンを持った手の人差し指で、ご利用者さんの口角を押し下げます。
このときにガーグルベースンがご利用者さんの口元から離れないように注意してください。
次に、右手に持った吸い飲みで、ご利用者さんの口のなかに水を注ぎます。
最初は前歯の辺りに注ぎ、そして徐々に臼歯の辺りに移動させましょう。
のどの奥に向かって水を流し込むことは、誤嚥させてしまうので絶対に禁物です。
これで、口の片側をすすぐことができました。
今度は、ご利用者さんに頭を逆の左に傾けてもらいます。
ケアをする人間も、ガーグルベースンと吸い飲みを左右逆に持ち替えて、反対側の口もすすいであげましょう。
水を注ぐときも同じく前歯の辺りから始めて、徐々に臼歯の辺りに移動させます。
こうすれば、嚥下障害のある人でも、誤嚥させずに口をすすぐことができますよ。