歯科訪問診療は、保険診療になります。保険診療は、国の定める「保険点数表」で診療報酬が決められているため、同じ条件であれば、どの歯科医院の診療を受けても同じ金額になります。
しかし、診療報酬点数表で定められている諸条件が非常に複雑なため、どんな治療を行う場合には、一部負担金金額はいくら位になるのか、正確に提示することは極めて困難です。例えば、次のような条件により診療報酬の点数が異なるからです。
- 治療をおこなう場所が、居宅、居住系施設、社会保険施設のいずれなのか
- 同じ建物内で、同じ日に何人の診療をおこなうか
- 同じ建物内で、同じ月に何人の管理・指導をおこなうか
- 1月に何回の訪問診療をおこなうか
- 歯科医院の施設基準
- 訪問診療に歯科医師だけが対応するのか、歯科衛生士の対応も必要か
- 意思疎通の困難度
- 全身疾患
- 主訴
- 口腔状態
- 治療内容
- 義歯の種類 総義歯か、部分入れ歯か、その歯数は何本か 材料はどのようなものか
- お持ちになっている保険証や、公費負担の有無など
これ以外にも多くの条件があります。
また、介護認定を受けられ在宅で療養されている方へ訪問診療をおこなう場合、医学的な管理指導は、医療保険ではなく介護保険で算定する決まりになっています。社会保険施設以外で治療を行う場合、介護認定を受けられているかたは介護保険も使うことになるので、さらに複雑になっているのです。
しかし、訪問診療を受けようとされる方にとっては、一部負担金がいったい、いくらくらいになるのか、その目安すらないと不安になるでしょう。
そこで、日本訪問歯科協会では、ざっくりとした目安を知るための訪問歯科料金シミュレーターをご用意しました。
この料金シミュレーターは、あくまで、目安を知るためのものですので、実際にかかる金額と異なります。例えば、ご本人が「入れ歯が当たって痛い」という主訴の場合でも、入れ歯の修理だけすれば解決するわけではありません。入れ歯以外の口腔内の問題が原因であることも少なくないからです。
こうしたことをご了解の上、ざっくりとした目安を知るためにご活用ください。
当シミュレーターは、次の前提条件で作成しています。
- 施設基準:口管強+歯援診1
- 訪問者(実施者):歯科医師+歯科衛生士(1月に2回訪問)
- 患者:要介護認定を受けている者
- 新製有床義歯管理料:8歯未満の場合は190点、9歯以上の場合は230点を算定
- 歯科口腔リハビリテーション料Ⅰ:8歯未満の場合は104点、9歯以上の場合は124点を算定
- 摂食機能障害:居宅療養管理指導をおこなう患者に対しては摂食機能療法、それ以外の患者に対しては訪問口腔リハを算定
目安の総額の計算式
当シミュレーターで算出した総額に500円を加え、100円未満を切り上げた金額で表示しています。
※特別対応加算2(250点)、特別対応加算1(175点)、診療情報等連携共有料(120点)、在推進(100点)、 歯科訪問診療移行加算(150点/100点)等を算定することがあるため。