寝たきりの人は痰を出すのも大変!
筋力の衰えなどでセキ払いをしっかりできなくなると、痰の喀出に苦労するようになります。
特に、寝たきりになってしまうと痰の処理は大きな問題です。
上体を起こして背中を叩くタッピングのような方法を、痰が絡んだたびに行うのは難しいでしょう。
ご利用者さんの負担も、介助者の負担も大きくなってしまいます。
そこで、寝たきりのご利用者さんへ負担をかけずに、痰を出しやすくする方法を紹介しましょう。
痰が流れやすい体勢?
痰は重力の関係で、高い所よりも低い所に溜まりやすくなります。
そのため、痰が絡んでいる側が上になるように、体位を変えてあげるだけで痰は流れやすくなるのです。
寝たきりのご利用者さんの上体をわざわざ起こして、背中や胸部を叩く必要はありませんから、ご利用者さんの負担も少なくて済みます。
体の右側に痰が絡んでいるようなら、右半身が上になるように、体位を変えてあげます。
このときに、頭の位置が肺よりも低くならないように気をつけてください。
頭の位置が肺よりも低いようだと、逆流してきた痰を再度誤嚥してしまう危険があるのです。
認知症などで意思疎通が困難な場合は、胸に耳を当てて「ヒューヒュー」と音がする側を上にするといいでしょう。
判断が難しい場合は右側を上に?
なかには、どちら側に痰が溜まっているのかわからないという場合もあります。
そんなときは、右側を上にしておきましょう。
なぜなら、人間の体の構造上、左側よりも右側の方が痰が溜まりやすいからです。
人間の体は、肺と気管を結ぶ気管支の角度が左右で異なります。
人体の左側には心臓があるので、その分だけ左の気管支の方が、右よりも角度がつくからです。
そのために、痰が絡んだり食べ物や飲み物が気管に入ったりするのは、気管支の角度がゆるやかな右側が多くなりがちなのです。