訪問歯科ネットでは、歯科医院についての定型の基本情報以外に、医院の独自の案内文と写真を追加掲載できます。定型の基本情報の項目や文章表現は、全て「医療広告ガイドライン」に準拠しています。
この手引きは、貴院が、医院独自の案内文と写真を作成する際に、患者さんや介護者にアピールするが、「医療広告ガイドライン」には抵触しないものを作成する際の指針とするためのものです。
■案内文について
案内文は、「タイトル(医院案内タイトル)」と「本文(医院案内文)」で構成されます。案内文には、次の内容を記載できます。
- 医療法やガイドラインで認められた広告が可能な事項
- 客観的な評価が可能かつ事後の検証が可能な事項
- 医療とは直接関係がない表現を使用したもの
■案内文の作成法
案内文は、まずタイトルから書き始めます。タイトルは、訪問歯科ネットのユーザーが最初に目にするキャッチコピーになります。次のようにすると、効率的に作成できるかと思われます。
- 次の項目を簡単なメモに書き出してください
- 訪問診療での治療方針
- 訪問診療の中で特に力を入れていること
例:「認知症の患者さんには、○○している」 - 訪問診療の中で特に心がけていること
例:「入れ歯の治療では、○○するように心がけている」
- 1で書いたメモから、最も先生の考え方として記載したい項目を1つ選んでください。
- 2で選んだテーマをキャッチフレーズにします。以下のタイトル作成法を参考に作成してください。
- 本文はタイトルのテーマに合ったものを作成してください。以下の本文作成法を参考にして作成してください。
1.タイトル作成法
「○○の場合には、○○ください」 ⇒ 症状(トラブル)は、相談ください
- 入れ歯のトラブルは、お気軽にご相談ください
- 入れ歯が合わずに痛い場合には、我慢せずにご相談ください
- うまく飲み込めない場合には、お早めにご相談ください
- むせが気になる場合には、お早めにご相談ください
- 口が乾く場合には、お早めにご相談ください
「○○をおこなっています」 ⇒ (治療名等)をおこなっています
- 在宅での摂食機能療法をおこなっています
- 施設でのミールラウンドに参加しています
- ○○による○○検査を実施しています
※保険点数表にあり、貴院で実際におこなっている内容に限ります
治療方針のアピール ⇒(治療名)+方針
- ○○の治療は、○○でおこなっています
※保険点数表にあり、貴院で実際におこなっている内容に限ります - できるだけ患者さんのご負担がないよう心がけた治療をおこないます
- 主治医との連携をとりながらおこないます
- 医科、介護職など他職種との連携を図りながらおこなっています
経営理念のアピール
- 私たちは、地域医療、チーム医療を基本方針にして、患者さんのQOLの向上を目指します。
2.本文作成法
本文は、タイトルに取り上げたテーマで作成してくだい。医院の独自性に絞って書かれると、ユーザーに強くアピールできます。独自性は、「医院の特徴」×「院長先生の考え方」で考えるとスムーズに書けます。「医院の特徴」は、訪問歯科ネットに掲載する定型情報から特に力を入れているものを1つ選ぶことをお勧めします。案内文は、全角文字で400文字以内にまとめてください。ユーザーは、医院の特徴から受けられる医療のメリットを想起しますが、医療広告ではメリットの直接的な表現はできません。
【例】
特徴「お口の健康相談をおこなっている」⇒利用者のメリット「治療でなくても相談できる」
タイトル:当医院では「お口の健康相談」をおこなっています
本文:当医院では、地域の介護事業所との連携を深めるため、お口の健康相談会や口腔ケア講習会をおこなっております。
■注意すべきNG表現集
- 虚偽広告
最新、最高、すぐに、確実に、
痛くない治療をおこないます - 比較優良広告
日本一の、No1の、トップクラスの、最高の日本有数の、専門の、~を誇ります - 誇大広告
効果が高い、○○の症状がある2人に1人が○○のリスクがあります
○日で治療が完了します
○○の許可を取得した、○○学会認定医、○○協会認定施設※医療広告で掲載できる専門医は次の5つの資格のみです
記載方法:歯科医師○○○○(公益社団法人 日本口腔外科学会 口腔外科専門医)- 公益社団法人 日本口腔外科学会 口腔外科専門医
- 特定非営利法人 日本歯周病学会 歯周病専門医
- 一般社団法人 日本歯科麻酔学会 歯科麻酔専門医
- 一般社団法人 日本小児歯科学会 小児歯科専門医
- 特定非営利法人 日本歯科放射線学会 歯科放射線専門医
- 客観的でないもの
比較的○○な、理想的な、きっと、治ります
安心です、安心してお任せください、満足いただける
定評のある、高度の、確実な、 - 正確性がないもの
さまざまな症例に対応した、それぞれの症状に対応した - 患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談
- 公序良俗に反する内容
- 品位を損ねる内容
ただいまキャンペーン実施中 - 提供される医療の内容とは直接関係ない事項による誘引
無料相談をされた方全員に○○プレゼント - ふざけた表現
- 治療などの内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前後の写真等
■写真について
医療広告として掲載できるものは次の通りです。
- 従業員(院長を含む)の写真
- 診療風景の写真
※患者の顔が写らないように注意が必要です - 建物の外観
- 施設、設備
- 据置型の医療機器等の機械器具の写真
※訪問診療用の医療機器の写真は不可 - 共同利用をすることができる医療機器
■医療広告ガイドラインのを遵守の重要性
「訪問歯科ネット」では、歯科医院が作成された案内文や写真が医療広告ガイドラインに抵触していないか、当協会で掲載前に審査をおこないます。審査を通らない場合には掲載できませんので予めご了承ください。
「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針」(医療広告ガイドライン)には次の記載があります。
広告可能な事項の具体的な内容
広告可能事項については、一つ一つの事項を個別に列記するのではなく、一定の性質を持った項目群として、まとめて「○○に関する事項」と規定するいわゆる「包括規定方式」を取っている。
しかし、医療法によると、広告は原則禁止で、許される広告がここに限定列挙されているだけです。
そのため、歯科医院の案内文は、広告可能な事項の具体的な例の内容以外のものを記載して良いのかどうか、事前に判断することは難しいのが実情です。
この点、厚生労働省から公表されている「医療広告ガイドラインに関するQ&A」が参考になりますが、このガイドラインも最新のものではなく、アップデイト版が出されるかと予想されます。 しかし、そこにも、具体的な例として取り上げられていないものがあるでしょう。
そこで、「訪問歯科ネット」は、現時点では、医療法の広告は原則禁止の基本精神にのっとり、医療広告ガイドラインやQ&Aに明文化されていない不明なケースについては掲載しない方針を取ります。また、万が一、掲載後に行政等から指摘を受けた場合は、速やかに指摘を当協会で検討して、必要があれば修正をおこないます。
参考資料
これ以降は、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針」(医療広告ガイドライン)に関するQ&A(事例集)http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kokokukisei/qa.html から、参考になるかと思われる箇所を抜粋したものです。
文章関連
Q1-3 キャッチコピーや院長等のあいさつ文を広告物に掲載することは可能でしょうか。
A1-3 医療法やガイドラインで認められた広告が可能な事項(「開院○周年」等)や医療とは直接関係がない表現(「はじめまして」等)を使用したキャッチコピーやあいさつ文であれば、広告物に掲載することは差し支えありません。
(広告可能な例)
- 「休日・夜間でも来院下さい」
- 当院は、おかげさまで開院から20年を迎えることができました。これからも、当院のスタッフ一同努力しますので、よろしくお願いします。(病院長;○○ ○○)
Q2-25 「ストレス、イライラに対する健康相談」のように特定の症状に対する健康相談を実施している旨を広告することは可能でしょうか。(法第6条の5第1項第13号、広告告示第4条第6号関係)
A2-25 広告することは可能ですが、利用者にわかりやすい表現を用いることが望ましいです。
Q2-31 「できる限り歯を削らず痛くない治療を目指します。」といった治療の方針を広告することは可能でしょうか。
A2-31 「できる限り歯を削らず痛くない治療を目指します。」といった治療の方針を広告することは可能です。ただし、「できる限り歯を削らず痛くない治療を目指します(99%以上の満足度)。」のような成功率などの治療の効果に関する表現とともに治療の方針を表現することや、「痛くない治療を行います。」のような科学的根拠がなく虚偽広告や誇大広告のおそれがある表現は広告として使用できません。
Q3-1 「最新の治療法」や「最新の医療機器」といったような「最新」という表現は、広告が禁止されるのでしょうか。
A3-1 「最新の治療法」や「最新の医療機器」であることが、医学的、社会的な常識の範囲で、事実と認められるものであれば、必ずしも禁止される表現ではありません。
登場してから何年までを最新と認めるか等の基準を示すことは困難ですが、より新しい治療法や医療機器が定着したと認められる時点においても、「最新」との表現を使用することは、虚偽広告や誇大広告に該当するおそれがあります。
また、より新しい治療法や医療機器が存在しない場合でも、十数年前のものである場合等、常識的な判断から「最新」との表現が不適切な場合があり、誇大広告等に該当するおそれがあります。
Q3-2 費用を太字にしたり下線を引くなどして強調することは、一切認められないのでしょうか。
A3-2 ガイドラインにおいて、費用を強調した品位を損ねる内容の広告は、厳に慎むべきものとされておりますが、費用に関する事項は、患者にとって有益な情報の1つであり、費用について、分かりやすく太字で示したり、下線を引くことは、差し支えありません。
ガイドラインにおいて、品位を損ねるものとして、厳に慎むべきとされるものは、費用を前面に押し出したものです。
Q3-4 「無料相談」の広告は可能でしょうか。
A3-4 無料で健康相談を実施している旨についての広告は可能ですが、広告するに際し、費用を強調した広告は品位を損ねるもので、適切ではありません。
写真関連
Q2-12 広告に従業者の写真を掲載することは可能でしょうか。(法第6条の5第1項第6号及び第7号、広告告示第1条第1号関係)
A2-12 法又は広告告示により広告が可能とされた事項については、文字だけでなく、写真、イラスト、映像、音声等による表現が可能です。
例えば、以下のような広告は可能です。
- 従業者の人員配置として、病棟又は診療科の従業者の人数、配置状況として写真を掲載すること。
- 医療従事者に関する事項として広告可能な氏名、年齢、性別、役職及び略歴を写真とともに掲載すること。
Q2-13 広告に診療風景等の写真を掲載することは可能でしょうか。(法第6条の5第1項第6号、第8号及び第11号関係)
A2-13 法又は広告告示により広告が可能とされた事項については、文字だけでなく、写真、イラスト、映像、音声等による表現が可能です。
例えば、以下のような広告は可能です。
- 医療機関の構造設備に関する事項として、病室、談話室の設備の写真、据え置き型医療機器の写真を掲載すること。
- 医療機関の管理又は運営に関する事項として、セカンドオピニオンの実施、症例検討会の実施等の写真を掲載すること。
- 医療機関において提供される医療の内容に関する事項として、検査、手術等を含む診療風景の写真を掲載すること。なお、診療風景であっても、手術前、手術後のレントゲン写真等を含む写真を掲載することは、治療の効果に関する表現に該当するため広告できません。